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あれは先日の火曜日のことだった。

煙の匂いにさそわれ、僕は町でいちばん大きい祭りに足を踏み入れた。

からあげのおいしい匂いにさそわれ、五百円の屋台のからあげをたべていると、

その匂いにさそわれて女の子がやってきた。

その女の子は僕の手に持っていたからあげを華麗に盗んで去っていった。

僕はその子を決死の思いで追いかけた。

彼女が盗んでいたのはからあげだけではなかったのだ。

そう、心臓(ハート)。僕は一目でその子に恋をしてしまったのだ。

だが、彼女は足がとてつもなく速かった。正確にいえば、僕の足が

おそろしく遅かっただけなのかもしれないが、

僕のプライドはそれを許そうとはしなかった。

彼女の姿はすぐに見えなくなってしまった。

もう会えないのかな、そう残念に思っていると、

「さっきはからあげをありがとう。とてもおいしかったわ。」

なんと彼女の方から声をかけてくれたのだ。

「好きです。付き合って下さい。」

気づくと声に出していた。急に告白なんて

彼女に引かれてしまう、そう思ったときだった。

ドーン!!

花火だった。そうか、だから火薬の匂いがしたのか。

こんなきれいな花火を好きな子と見られるなんて

幸せだな。そう思って彼女の方をみると、からあげの

入っていたカップが地面においてあるだけだった。

まるで花火のような一瞬の出来事だった。






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